従来の採用手法が通用しない現実
今、採用市場に大きな変化が起きています。求人広告を出せばそこそこの人材が集まり、選考すればよい――そんな「当たり前」は通用しなくなりました。少子高齢化や転職市場の活性化などの要因も相まって、今は企業よりも求職者のほうが優位性を持つ**「採用難時代」**と言われています。
たとえば、米国のある調査では、求職者の多くが応募前にSNSや口コミサイトで企業情報を入念に調べ、たった1回の面接で辞退を決断するケースも珍しくありません。応募者数が伸び悩んでいる方、内定を出しても辞退されることが多いと感じる方はいないでしょうか? 実は、それは必ずしも「人材不足」だけが原因ではありません。いま企業に求められているのは、「自社を選んでもらうための戦略的アプローチ」です。
従来の“待ちの採用”では、もはや優秀な人材にアプローチできない時代。採用担当者には、危機感を持って「何を変えるべきか」を考えるタイミングが来ています。
見落としていませんか?軽視されがちな採用の問題点
では、なぜ従来型の採用では不十分なのでしょうか。多くの企業が陥りがちな3つの落とし穴を確認してみましょう。
自社の魅力を十分伝えていない
求職者は応募前に企業情報を調べ上げます。会社HPはもちろん、SNSや口コミサイト、社員ブログなどをチェックするのが今のスタンダードです。それでも「企業としての強みやビジョンが不明瞭」「社員がどんな働き方をしているかわからない」と感じられたら、スルーされてしまう可能性大。自社の“働く魅力”をきちんと発信できていない企業は、人材獲得で不利になってしまいます。
候補者体験(Candidate Experience)の軽視
お客様を大切に扱う企業は多いのに、候補者への対応は後回し――そんなケースはありませんか? 応募から面接、内定までスムーズに情報提供や連絡を行う企業は、候補者側の印象が大きく変わります。少しでも不明点や待ち時間が多いと、それだけで志望度は低下します。“採用のフロント”である人事が、その体験価値を担保しているかどうかは、採用成否を左右する重要ポイントです。
データに基づく改善・PDCAサイクルが回っていない
求人媒体に出稿したら終わり、面接して内定を出す――そのあとの検証プロセスはどうでしょうか? たとえば、どの経路からの応募が多かったのか、選考途中で離脱した理由は何か、内定承諾率はどうか……。これらのデータを分析・改善してこそ、採用施策を最適化できます。データに基づくアプローチをしないと、いつまでも同じところで失敗を繰り返すかもしれません。
「採用はマーケティング」として捉える
これらの課題を一気に解決するヒントが、**「採用をマーケティングの視点で捉える」**という方法論です。近年、欧米を中心に「リクルートメント・マーケティング(Recruitment Marketing)」の考え方が広まりつつあります。
顧客を集めるマーケティング手法を採用でも応用し、見込み顧客ならぬ“見込み候補者”を獲得するためのアプローチを体系化する。たとえば下記のようなアクションが代表的です。
魅力的なブランドづくり(Employer Branding)
「こんな会社で働いてみたい」「ここなら成長できそう」と思ってもらえるメッセージやコンテンツを積極的に発信し、企業の認知度とイメージを高めます。
マルチチャネルでの発信・コミュニケーション
求人媒体、SNS、大学連携、社員紹介(リファラル)などを駆使し、“求職者がいるチャネル”にアプローチします。情報は多角的に、しかしメッセージの整合性が保たれていることが重要です。
データ分析・PDCAサイクル
採用に関わる各チャネルの費用対効果、応募数、内定率などをモニタリングし、改善サイクルを回します。マーケティングオートメーションツールやATSなどを活用すれば、効率的に可視化できます。
候補者へのパーソナライズ
一斉送信のメールや求人情報だけでは、心に響きません。候補者の志向や応募動機をヒアリングし、彼らが知りたい情報を適切なタイミングで提供する。そんな“個別化”のアプローチで志望度を高めます。
こうしたマーケティング的視点を導入するだけで「闇雲に求人を出していた」という状態から、「誰に何をどのように伝え、どう行動を促すか」がより具体的になるのです。
4つのステップで始める採用マーケティング
ここでは、採用マーケティングを導入するための簡易ステップを4つにまとめました。
目標設定とペルソナ定義
どんな人材をいつまでに何名採用したいのかを明確化し、ターゲットとなる求職者の属性(年代、スキル、価値観など)を“採用ペルソナ”として定義します。
ブランディングとコンテンツ設計
自社が他社と比べて優れている点、ユニークなカルチャー、魅力的な制度などを洗い出し、それを分かりやすく見せるコンテンツを企画・制作します。写真や動画、社員の生の声は特に効果的です。
マルチチャネルでの接触機会創出
静的な求人サイトだけでなく、SNS、オンラインセミナー、オフラインイベントなど、多様なチャネルで情報発信し、“求職者の生活圏”に情報を届けます。担当者個人のSNSを活用するのも効果的です。
効果測定と継続的改善
各チャネルからの応募やCVR(応募率)、面接通過率、内定承諾率などを追い、どこにボトルネックがあるかを特定します。データに基づいて施策を修正し、再度トライしていきましょう。
いま求められる「求職者起点での採用マーケティング」
ここまでの話を聞いて、「うちは広告費も人材もそんなにないから、難しいかも……」と思われた方もいるかもしれません。
しかし、人的資本は企業の成長エンジン。「いまのままでは、優秀な人材が来ないばかりか、既存社員が不満を持ったら流出しかねない」という課題意識を社内で共有し、新しい手法を試す必要性を伝えましょう。大掛かりなプロジェクトでなくても、たとえば以下のような小さな一歩からスタートできます。
・現場社員にSNSで仕事の面白さを発信してもらう
・採用ページに社員インタビュー記事や写真を増やす
・1つのイベントで構わないので、オンラインセミナーに挑戦してみる
最初の一歩を、いますぐ踏み出そう
採用にマーケティングの発想を導入することは、もはや欧米の先進企業だけが実践している特別な取り組みではありません。日本国内でも少しずつ導入が進んでいます。候補者は企業を選ぶと同時に、「自分の未来の居場所」を探しています。企業側が受け身でいる限り、そんな候補者に響く情報は届けられません。
「採用はマーケティング」である――この視点を持ち、魅力的な雇用ブランド構築、マルチチャネル戦略、データに基づく検証、そして候補者一人ひとりへ寄り添うコミュニケーションを少しずつ始めてみてください。
あなたの会社を次のステージへ導く優秀な人材との出会いは、そこからスタートします。採用担当者としての大きな挑戦、その一歩を、ぜひ今日から踏み出してみませんか?
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